私はこの業務にかかわるまで源泉徴収票を見ても何が何かわからず、調べてみようとすら思いませんでした。
このブログを見て頂いている方が業務にかかわっている方のみなのかどうかわかりませんが、
源泉徴収票に記載の数字はどこから来ているのか知っておいて損はないと思います。
今は給与ソフトで自動計算されるとはいえ、人間のやることですから申請書の入力を間違えることだってあるはずです。
なので、正しく反映されているかチェックしてみた方が良いです。難しくはありません、いくつかサンプルを見ていけば誰でもわかります。
源泉徴収票の緑色の枠が「所得額」で赤色の枠が「控除額」です。
「所得額」は「支払額」から経費を差し引いたもので、課税される額です。
でも、そこから扶養家族がいる、生命保険や年金、地震保険等を掛けているなど諸々の控除額を引いた額が、最終的に課税額になります。
「所得額」-「控除額」=課税額で、
同じ所得額であっても、控除額が大きいほど最終課税額が小さくなります。
サンプルその1
給与から控除される社会保険料しか控除額がない単身者の場合
扶養家族が無く、保険料とか申告書に一切、記入額の無い場合です |
サンプルその2
扶養家族や医療保険、個人年金、地震保険等の控除がある人の場合
「所得控除額の合計」1,913,326円の内訳をチェックしていきます。
基礎控除:480,000円
扶養控除:380,000円(1人)
同居老親:200000円(老人、内1人の欄)
社会保険料:683,326円(給与から控除された社会保険料の合計)
生命保険料の控除額:120,000円
地震保険の控除額:50,000円
この合計が1,913,326円で
「所得額」3,688,000円-「所得控除額の合計」1,913,326円=1,774,674(千円未満切捨)=1,774,000円が課税額になります。
この場合も税率は5%なので
1,774,000円×0.05=88,700円
これに復興税をかけます
88,700円×1.021=90,500円(百円未満切捨)
90,500円が源泉所得税になります。
次に生命保険の控除額が合っているかチェックしましょう。
生命保険控除額は120,000円ですが、その数字の元になっているのは下の赤い丸で囲った金額です。
旧生命保険料の金額:141,864円
介護保険料の金額:71,328円
旧個人年金保険料の金額:142,776円
(これらは所得者が申請書に記入した金額です、合ってますか?)
それぞれの計算式にあてはめた控除額は
上から
旧生命保険料の金額:50,000円
介護保険料の金額:37,832円
旧個人年金の金額:50,000円
合計:137,832円ですが、最高120,000円までなのでこの金額になります。
合っていますね。
サンプルその3
住宅ローン控除がある人の場合
基礎控除:480,000円
社会保険料:439,574円(給与から控除された社会保険料の合計)
生命保険料の控除額:40,000円
この合計が959,574円で
「所得額」2,210,400円-「所得控除額の合計」959,574円=1,250,826(千円未満切捨)=1,250,000円が課税額になります。
この場合も税率は5%なので
1,250,000円×0.05=62,500円
この所得者の場合、住宅特別控除額61,900円があるので差し引きます。
62,500円-61,900円=600円
これに復興税をかけます
600円×1.021=600円(百円未満切捨)
600円が源泉所得税になります。
もし、この所得者の毎月の給与や賞与から控除される源泉徴収税の年間合計が70,000円だった場合、
70,000円-600円=69,400円が、還付されます。年間の源泉所得税額がほぼ¥0になるのは大きいですよね、住宅控除。
この住宅控除61,900円は、住宅借入金の年末残高(6,198,520円)の1%の金額になります(百円未満切捨)
もっと複雑な源泉徴収票もありますが、大半はこの4つのパターンにあてはまるんじゃないでしょうか?
年末調整の手引きの設例は、1つの設例にいろいろ盛り込んであるのでわかりにくいですが、こうやって分解していくと、申告書に記入した金額が源泉徴収票のどこに転記されるのかがわかると思います。
◇ ◇ ◇
毎年のように年末調整の改正点があり、計算が複雑になってきています。
申告書の裏面に小さな字でびっちり書いてありますが、業務に携わっている身でも読む気にはなれません。
ウチの職場で配偶者特別控除を理解して書いてたのはたった2人でした(笑)
残りの9割以上の人は、書けば控除になると思い込んでるのか、対象にならなくても配偶者や扶養の欄があれば書きまくっていました(毎年のことですが)
事業所によっては紙ではなくWeb申請してるところもあるようで、どの程度までお互い楽になるのかわかりませんが、
添付した証明書類のチェックもありますし、やっぱり人の目での確認作業は無くならない気がします。
各保険料にしても新・旧の選択を間違えれば正しい控除額にはならないし、所得を収入で入れてしまったら控除対象外になってしまうかもしれません。
業務をやっていても人間ですから間違うこともあります。
もらった源泉徴収票には申請書のどの金額が転記されたものなのか、間違っていないのか知ってもらえたらいいな、と思って書いた記事でした。
大半のサラリーマンは年末調整で完了ですが、もし医療控除とか所得税の還付申告(納めた所得税額が年税額を上回る)がある場合は、確定申告期間開始日(2/15~)を待たずに、1月1日から申告できます。
◇
あっという間に新年を迎えました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
pata |