6月末に定年退職する人の話です。
夏の賞与支給日まであと数日というタイミングでの退職、
上司から何とかならないか?と相談を受けました。
賞与は支給日に在職してなければ支給は出来ないんじゃないですか?といったんは答えたものの
どうなんだろう?と疑問がわき、ネットで検索してみると
『整理解雇や定年退職者である場合は、退職日を本人が決められることではないことから、支給日在籍用件の取り扱いは許されず、支給対象期間中の勤務期間に応じた賞与を支給すべきと考えられています』という一文を見つけました。
『支給日在籍用件の取り扱いは許されず、支給対象期間中の勤務期間に応じた賞与を支給すべき』
つまり6月末で退職、7月の賞与支給日に在職してなくても賞与は支給されるべき、という考えです。
通常の自己都合の退職であれば、夏の賞与をもらってから辞めようとか計画できますが、定年退職は本人が決められるものではないので、退職後であっても賞与は支給されるべきであるということです。
これはあくまでネットで見つけた一文なので、ウチの会社の給与規定はどうなってるのか見てみると
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第〇条(支給対象者)
①賞与金の支給対象者は就業規則第〇条の社員であって支給期間中の全てもしくは一部在籍したもので、支給日現在において引き続き在籍中のものとする
②賞与金の支給対象期間中に在籍せず支給対象者とならないものであっても、支給日現在において在籍するものについては、賞与金に代わるものとして金一封を支給することがある。
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①においては「支給日においては在籍しなければならない」とあるので、これだけを見れば6月末で定年退職で7月の支給日に在籍していないのであれば支給はされません。
但し、6月末に定年退職後、嘱託やパート、アルバイト等で雇用が継続していて在職していれば支給できる、とも受け取れます。
②については6月に入社して、7月賞与支給日までにわずかな勤務期間であっても、支給することがありますよ、というのが「金一封」
(素人があちこちから切り貼りして作った規定なので、抜け、ツッコミどころ、矛盾がいっぱいです。)
個人的には夏の賞与の算定・考課期間は前期の10月から3月なので、その分は定年退職後でも支給されるべきではないかと思います。
ネットの一文からすれば、4月から6月の退職月までの3ヶ月分も支給されるべき、となります。
上司にはウチの賞与に関する規定のページとネットの一文のコピーを渡しておきました。
さて、どうなるか?
◇
私は定年退職後でも支給するだろうと予測して、社会保険料や所得税はどうするのかを調べました。
結論は
・社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)は控除しない。
・源泉所得税は原則「乙欄」で源泉徴収だが、対象者が退職後、他の給与支払者に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しなければ、「甲欄」で源泉所得税を徴収して良い。
詳しくはこちら↓
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2739.htm
つまり、
定年退職後に支給される賞与から控除されるのは「源泉所得税」のみ、となります。
私はこれまでは賞与支給日に在職してなければ不支給と思い込んでいましたが、会社の規定には、定年後でも継続勤務で支給日に在職していれば支給されると確認できて良かったです。
ここから先は心の声グチになってしまいますが、
ウチの会社は誰かの知り合いとかそういう繋がりで入社した人が一部いて、その人には規則や規定がどうあれ、そうしてあげたいからそうする、という対応なんです。
だから上司からこの相談を受けた時、私が何をどう言ってもそうするんだという結果は目に見えていました。
規定では「支給日に在籍」が原則ですから、退職後も(形式的に)アルバイトで雇用継続、賞与をもらってすぐ退職、、、が妥協案かと考えていたのですが、
賞与を出してあげたい上司の屁理屈は予想を上回るもので、心の平静を保つため無になるよう努めました(笑)
これ以外にも、病気で欠勤中の人がいたのですが、欠勤中は特別休暇(緊急事態宣言中)ということにして給与を出してあげたい、とも言われました。
特別休暇は出勤できるけど(緊急事態のため)休むわけだから、そもそも欠勤してる人を対象とはしません!と突っぱねたこともありました。
別に支給日に在籍せずとも賞与を支給してあげても、欠勤でも給与を支給してあげてもいいんですよ。
ただそれをやるなら、特定の一部の人にじゃなく、みんなに平等に適用してほしい。人によって自在にその時々で規定を曲げないでほしい、だけなんです。
6月末定年後、7月で賞与支給するなら、定年が9月、10月ならどうするんですか?基準が必要じゃないですか?っていうことです。
話は戻りますが、
『支給日在籍用件の取り扱いは許されず、支給対象期間中の勤務期間に応じた賞与を支給すべき』とのネットの一文ですが、
裁判では「退職後は賞与を支給しなくても良い」という判例があるそうなので、優先されるのは就業規則や給与規定にどのような記載があるかではないかと思います。
ウチのようないい加減な事業所はめったに無いと思いますが、
もし定年退職間近の方がいらしたら、一度職場の就業規則や給与規定に何と書いてあるか確認してみてはいかがでしょう?